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    かけはし2021年2月15日号

均等待遇を勝ちとるぞ!


1.28

雇用共同アクション

格差容認判決乗り越えよう

法改正を必らず実現へ


最高裁判決の
問題点を斬る


 1月28日、雇用共同アクションの主催で「格差容認の最高裁判決を乗り越えよう! 均等待遇の実現を勝ち取る1・28集会」が参議院議員会館で開催された。会場には50人、オンラインでは60人が参加した。
 昨年10月、非正規雇用労働者の賃金・待遇に関して3つの最高裁判決(東京メトロコマース、大阪医科薬科大、日本郵政)がだされた。判決をうけ、次の3点を確認する目的で集会は設定された。
 @旧労働契約法20条を根拠とした格差是正訴訟について判示された最高裁の欠点を明らかにする。Aパート有期法8条と9条を活かして今春闘での非正規労働者の待遇改善、格差是正をはかるための要点を共有、意思統一する。Bパート有期法の欠点を確認、法改正のイメージを共有し、改正法案の成立をめざす野党を激励する場とする。

竹信三恵子
さんが講演


集会ではまず、ジャーナリストの竹信三恵子さんによる記念講演「均等待遇の実現に向けて〜最高裁判決を乗り越えて〜」が行われた。
竹信さんは「差別は最強で最悪の賃下げ装置」であるとし、自公による働き方改革の同一労働同一賃金≠ヘ本来の同一価値労働同一賃金≠無化する狙いがあったのではないか、と指摘した。同一価値労働同一賃金は60年代から活発化した米国の公民権運動の中で生まれ、マイノリティや女性労働者への賃金差別を防ぐため、異なる仕事でも職務分析によって客観化し、同じ点数なら同じ価値として賃金を決める方式。これがILOの推奨する方法(責任・スキル・労働環境・負担度の点数化)となった。
日本では、労基法3条では身分や国籍などによる賃金差別を禁止しているが「(正規・非正規などの)雇用形態は身分ではない」として取り扱い、同4条で性による賃金差別を禁止しているが「女性だから安い」はダメでも「雇用形態や雇用管理区分の違い」はOKとするなど、差別を禁じる仕組みに不備がある。このように最高裁判決の欠点を指摘した。その上で、裁判闘争、労使交渉、立法措置、メディアという4つのアクターの強化の必要性を強調した。

野党共同提出
改正法案紹介


4つのアクターの1つ、立法措置について西村智奈美衆議院議員(立民)が野党共同提出法案の報告を行った。法案とは昨年11月に立民・共産・国民の3党で提出した「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部を改正する法律案」。@自公政権の働き方改革関連法案審議時の対案(18年5月提出)の同一価値労働同一賃金関連部分を参照・踏襲、A賞与・退職金に係る正規・非正規労働者の待遇格差に関する直近の最高裁判決に対する指摘を踏まえた新たな改正事項を盛り込むことの2つを基本的考え方としている。
法案には、パート有期法8条の「不合理な相違の禁止」を「合理的と認められない相違の禁止」に改める。合理的か否かの認定に当たっての考慮事項の絞り込みや、賞与・退職手当のうち賃金の後払等に当たる部分の判断の枠組みの明確化を行うことを加える。9条には、通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者の要件について、職務の内容・配置の変更の範囲の実態に応じて判断することを新たに盛り込む。
集会には社民党の福島みずほ党首、共産党社会労働部会から宮本徹議員と倉林明子議員が出席した。

格差容認許さ
ない運動を!


各裁判原告からの発言を受けた。メトロコマースと郵政の原告は会場で、大阪医薬大の原告はオンラインで発言した。昨年、定年退職したメトロコマースの原告の一人は次のような主旨の発言を行った。
――メトロコマースで一番の差別は賞与で、1200万円の差別≠ェあった。これらの差別≠ェ失業手当の金額にも及んだ。働き始めて48年目、コロナ渦で就職先がみつからずはじめて無職になった。バイトがみつかったが生活賃金には及ばず、昨年末からダブルワークを行っているがそれでも及ばない。退職金についての提訴は退職しないとできない。これからの提訴を考える仲間のためにも退職金について提訴する。
メトロコマースの高裁判決では退職金を支払うよう命じた。しかし最高裁判決では翻って不支給を認めたが、「労使交渉を踏まえ、賃金体系全体を見据えて制度設計するのが通例」と指摘する補足意見がついている。
発言の最後として生協労連による@パート有期法を活かした要求書づくり、A団体交渉のポイントをテーマにした特別報告を受けた。参加者が集会名が書かれたボードを参加者が掲げて集会アピールを確認、行動提起を受けて集会は終了した。     (KJ)



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